分節する家
木板張りは庇の下に
外壁材は大きく分けて下記の3種類を採用しています。
・黒ガルバリウム鋼板
・白左官材
・木板張り
ガルバリウム鋼板や左官材は雨に当たってもある程度耐久性がありますが、木板張りは直接雨にさらされると一年とたたずに変色してしまいます。
一見ランダムに見えるかもしれませんが、外装材の決め方のルールとして、木板張りは庇の下に採用することとしています。このルールを守ることで、木板張り部分が長くきれいな状態を保つことができます。
サブ空間は縁側に
ヴォリュームが大きいメインの空間の間に2ヶ所のサブ空間を設けています。
2ヶ所とも南面した廊下に縁側を有しており、廊下を含め、内外の中間領域としています。
玄関に近い方の縁側は、玄関に入らずに、そのままアプローチすることが可能で、親しいご近所さんとの井戸端会議ができます。
もう一方の縁側は、リビングからも直接アクセスができ、リビングの延長としての利用を想定しています。また物干場としての機能も併せ持たせています。
天井の高いメイン空間 LDK
メイン空間のLDKは、リビングダイニング天井を吹抜としています。キッチンは一般的な天井高として、その上に2階を載せています。
天井の高い玄関→低い廊下→高いLD→低い廊下→高い寝室
という変化のある動線としています。
ステンレスの箱 オリジナルキッチン
キッチンは「インターテック社」のオリジナルキッチンを採用しています。
クライアントの希望は
『業務用機器のようなステンレスキッチンがいい』
というものでした。
本当に業務用を採用しようかとも考えましたが、そこまでの高機能は不要であることなどから、家庭用の範疇の中でステンレスベースで設計を進めていきました。
思い出の継承
本計画は、古民家を解体撤去しての建替工事でした。
既設古民家は立派なつくりで建てられており、使用されている材料や施された細工には目を見張るもののあり、クライアントにとっては思い出が詰まった建物でした。
解体の際に「銘木板材」と「木製建具」のいくつかを選定しとっておき、新築の住宅に使用することとしました。
プラベートエリアに採用しているので、クライアントは満喫できますが、来客者はすぐには気が付かないと思います。
トイレを借りる時などにプライベートエリアに足を踏み入れ、ふと視界に入ったその古材が醸し出す趣の深さを感じていただけるとうれしいです。
分節されたメインの空間をサブの空間で繋いでいます
「玄関」「LDK」「寝室」をメイン空間として設定し、分節して並列配置しています。
廊下、水回りなどその他サブ空間にてメイン空間を繋げ、一つの住まいを構成しています。
メイン空間は天井高を高くし、サブ空間は低くすることで、内部空間に変化を与えつつ、外観にもリズムを与えています。