東浦町の『分節する家』は基本設計も終え、実施設計真っ最中です。
道路側のファサードデザインもほぼまとまり、詳細部の検討に入っています。
当初は駐車場の前に屋根付の大型門扉を計画していましたが、シンプルな電動門扉に変更となりました。
大型門扉が無くなったことで、奥にある建物の姿が道路からよく見えるようになったので、特に “見られる” ことを意識して外観デザインをまとめました。
既設門塀があるこちら側の外観は、以前からの計画から大きく変わることなく進んでいます。平面上の凹部の内外あいまい空間が、生活の中で活きてくるよう窓のサイズや形状に気を使いながら設計しています。
パース右側の古い既設門塀からの連続性を意識して、左側に新しく黒木塀、コンクリート塀を配しています。
また本日は現地に赴き、既設住宅の再利用品の選定作業を行いました。
既設家屋は永らくご家族によって居住されていたのですが、ここ十数年は使われることも少なくなり、老朽化が進んだ様子です。
しかしながら一歩足を踏み入れると、建物の中には当時の職人が腕を振るった細工の美しい建具部材や、クライアントの想い出の詰まった品々が数多く残されており、今も活き活きと出番を待っている姿がありました。
その中からいくつかの部材をレスキューし、新しい住まいに利用する予定です。
細工が美しいスリガラス戸と、円形部の精緻な細工と平滑な板面のコントラストのバランスがよいランマです。
こちらのランマも活用していきたいと思います。
クロスハッチのランマは未だ行き先が決まっていませんが...
床板です。今回も床板として不死鳥のごとく蘇っていただきたいと思います!
床框です。
うずくりとノーマルの2本の候補があり、どちらを使うか相談中です。
多くの板材がレスキューされています。
新しい住まいの飾り棚など、ちょっとしたところに多用する予定です。
無垢材なので、削って再生させます。
こういう引き手は今ではなかなか手に入らないので、とりあえずレスキューしておきます!
これから使い処を検討していきます。
ほかにも庭の景石や鬼瓦など、再利用する予定のものが多くあります。
建て替えにあたり、クライアントの想い出の詰まった部材はできるだけ新しい住まいへと継承して行きたいと思っています。お子様が大きくなった時に、この板はパパが・・・の時に・・・して・・・、とエピソードと共に古い家屋やご家族のことを語っていただくことを想像しています。
再利用品のいくつかは、その経年変化した姿が新居の中で当初違和感を放つかもしれませんが、時間と共に馴染んでいき、やがて新しいものも古いものも等しく新しいご家族の原風景となって溶け込んでいってくれればと思います。