西洋建築の歴史シリーズ(ローマ建築編1) - 建築スタジオブログ一覧 - 名古屋市の住宅設計事務所 江川竜之建築スタジオ

西洋建築の歴史シリーズ(ローマ建築編1)

スタッフの海老です。

今回の西洋建築シリーズはローマ建築について説明したいと思います。

今回は、すこし専門的な話になるのでご了承ください。

ギリシャ建築とローマ建築の大きな違い、それは構造です。

前回お話したギリシャ建築のオーダーとは、水平の梁を柱が支えるという構造方式を、一つの芸術的形式まで高めたものです。

しかし、この水平の梁を柱が支えるという構造方法は石造建築には不向きな方式なんです。

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元々、ギリシャ建築は石造建築ではなく木造建築でした。

木材の特徴は、引張力に強く圧縮力に弱いことです。

つまりこの構造方法は木造建築に適した構造方法なのです。

しかし木材は、時が経つと腐食してしまいます。

その腐食した部分を腐食しにくい石材に取り換える事でギリシャ建築は石造建築になったのです。

ですが石材は木材とは逆の性質をもち、引張力に弱く、圧縮力に強いという特徴があります。

石造の梁の場合だと、下面に生じた引張力に耐えられなくなりそこに亀裂が生じ一気に破壊にいたってしまいます。

このように、木造の神殿を石造に置き換えることによって、構造的な不合理が生じたのです。

その後、時が経つにつれ石造に有利な構造が生まれました。

それがアーチ構造です。

アーチ

石材を上方に湾曲させながら積むことにより、石が落下しようとするとき、石どうしが互いに押し合って落下を妨げます。

これがアーチの原理です。

つまり、石どうしが押し合う力、圧縮力によって、アーチは自立しているわけです。

引張力に弱く圧縮力に強い石材がアーチ構造に適するのは、このような理由によります。

ローマ2

上の写真は記者が実際にローマに行った際(2023年8月)にコロッセオ内部で撮影したアーチが使用されていることがわかる写真です。

このアーチによってギリシャ建築からローマ建築にどのように変化するのか、それは次回お話させていただければと思います。

 

 

 

 

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