コンクリート壁のある木造住宅
木造部分の工夫
コンクリート壁以外の木造部分の外壁は、全て左官壁で仕上げています。
塗装サイディング等を用いると目地が見えてしまい、鉄筋コンクリート構造のように見えないので、目地無しの外壁仕上を選択しています。
木造部分の基礎立上りも同じ左官材にて仕上げることで、より鉄筋コンクリート構造に見えるよう意図しています。
基礎上部の通気金物は、オリジナルディテールの板金を内部に隠して設置し、空気の出入口のラインのみがうっすらと見える程度としています。
窓廻りもセットバックしたサッシュを採用することで、コンクリートの壁のように少しでも厚みがあるように見せています。
ガレージルーフは外観デザインに大きく影響します!
前面の駐車スペースには、1台分のみオリジナルのガレージ屋根を設けています。
既製品のカーポート屋根はクライアントも私も避けたかったので、本体と比べて主張しすぎないくらいのシンプルなデザインの屋根を、鉄骨と金属パネルにて製作しました。
アプローチ階段-ガレージ屋根間の動線においては、庇にスキマができて雨に濡れることがないよう、連続して庇の下で行き来できるよう配慮しています。
内観デザインに馴染むオリジナルキッチン
キッチンは『インターテック社』のオリジナルキッチンを採用しています。
背面の全面キャビネットと面材や取手金物を合わせることで、キッチンが家具の一部として住宅に馴染むように計画しています。
両側面は人工大理石の天板をそのまま繋げて下げて、全体を門形デザインとしています。板の形状を強調することで、外観のコンクリート壁と共通した要素を内部空間にも表現しています。
手に触れるところなので・・・
階段手摺などの直接手に触れる部分には特別な注意を払っています。
オリジナル形状に木を削り出し、表面にビニールレザーを巻きました。
毎日触るところなので、握り易さと感触にこだわっています。
光のシャワー
玄関回りは防犯のためほとんど開口を設けていません。
その代わりにトップライトを設け、光のシャワーで明るくなるように設計しています。
季節を通して、また時間と共に光の入り方は刻一刻と変化して、一年を通して常に異なる光を提供してくれます。
フォトギャラリー
- 江川竜之建築スタジオを選んだポイントはどこですか?
- 何社か面談する中で、約束時間より早めにきて現地調査を丁寧にされていた点。
メモだけしか持たずに来る設計事務所の方や、最初の面談で交通費を請求する方がいて驚いたのを覚えています。
江川さんはとても満足できる対応と人柄でした。 - 家づくりを進めていくなかで楽しかったことは?
- 江川さんのプレゼンテ-ションというか、CADの図面の仕上がりが綺麗で見るのが楽しみでした。
- 家づくりを進めていくなかで大変だったことは?
- あたりまえなんですが、かなり細部まで自分たちで決めなければいけないのが大変でした。
例えば住宅の照明器具なんかはおすすめ仕様みたいな一覧できる資料があると楽かなと思います。 - 家づくりを進めていくなかで意外だったことは?
- こんな小さい住宅に、工事の仮設小屋を作っていただいたことが意外であり、大変うれしく思いました。
- これから家づくりをする方へアドバイスをお願いします!
- 住宅は新築を建てれるのは人生のなかでそんなにないと思います。
一度きりなのにずっと住むことを考えると、確かに値段は重要ですが30年の単位で考えたなら、金利の安い今なら、自分の思い通りの住宅を検討してもいいのではないかと思います。
間違いなく満足度と家に対する愛着が違います。
私は建築士の方と住宅づくりを進めていく時間や経験はかけがえのないものになっています。
新築を検討している方なら、建築士の方と一度会ってみるべきです。絶対損は無いと思います。
コンクリート壁に寄り添う家
クライアントのご要望は、WORKSの『重ねコンクリート壁の家』『公園を臨む家』のような、鉄筋コンクリート構造のディテールが醸し出す独特の外観デザインを持つ家でした。
木造の予算内にてこのご要望を満たすために、まず正面に1枚のコンクリート壁をつくりました。一見外壁に見えるこの壁は、構造的に言えば外壁ではなく「塀」にあたります。
この印象的な塀を住宅の顔として最も目に入る場所に広く設けることで、鉄筋コンクリート構造としての装いをまとわせることとしました。
木造部分はコンクリート壁にそっと寄り添い、構造的には互いに力を伝達しない状態を保ちつつ、縦スリットの開口を通して内部へ採光、通風を導き入れています。